1/12/2020

水仙の球根



 昨年の夏、お隣のご婦人が引っ越しされました。
ご主人も亡くなられ、しばらくは頑張っておられましたが
「一人での生活は、もう限界です。」と 、娘さんのお傍に。

売りに出されたお宅は駐車場がないので、
多分新しい家が建つのだろうなと思っていました。
広いお庭には温室もあり、書道家のご主人が丹精されていたのですが、 
今の時代にそのまま住まわれる方は少ないのでしょうね。

年末に業者さんが我が家に来られて、
更地にするため年始に測量をしますので立ち合いをお願いします、と。
それが昨日でした。 





 測量と言っても、驚くほどたくさんの方が来られ、
我が家の前まで車がずらっと。

男性がお隣の裏庭でそれぞれに仕事されていると、
足元の水仙が踏みつぶされていました。 
あまりに可哀そうで、更地にしてしまうのならと、
「この水仙、球根から掘り起こしていただいていいでしょうか?」と母が聞くと、
「どうぞどうぞ!」と。
きっとお隣さんも喜んでくださることでしょう。

 ということで、今日はスコップで球根を掘り起こし、
鉢や地面に移植。 

我が家にも水仙、たくさんあるのですが
お隣のものも、長年かけて太った良いものでした。
この水仙を見て、お隣さんを思い出すだろうな・・・。




我が家の庭には、お向かいの奥様からいただいた鈴蘭もあるのですよ。
亡くなられた今、これも貴重な思い出の草花となっています。

 水仙は品種によって微妙に香りが違い、苦手なものもありますが
うちにあるのは大丈夫。
一輪あるだけで、ハッとします。そんな香り。




花というのは、いろんな人の思い出がよみがえりますね。
春の桜は、桜を愛した伯母の花。

私が死んだら、どんな花が思い出の呼び水になるだろう・・・
ちょっと誰かに聞いてみたい気がします。