3/06/2021

八年という歳月



 
 
昨夜はいずみホールまで、なんと八年ぶりの演奏会に出かけて参りました。

中野慶理先生のピアノリサイタル。
もともと中野先生とはパートナーが繋がりがあり、
そのご縁で娘の恩師でもあります。

先生のピアノの音色は絶品で・・・
このような音をピアノから引き出せる演奏家は
なかなかいないのではないでしょうか?
 
私にとって大きなホールの演奏会は、いまだ怖いものです。
その恐怖を押してでも、今回は出かけてみたいと思ったのでした。
 
 
 
 
 
パニック障害が発症したのは2013年。
父が病に倒れ、亡くなった年。
それをきっかけに、一時は電車にも乗れず運転も出来ず、
もちろん演奏会などはもってのほかでした。
 
今は普通に電車に乗れますし、運転もまあ概ね大丈夫。
ただ、演奏会だけはチャレンジする勇気が持てなかったのです。
 
今回の演目のリストのソナタ、じっくりと聴いてみたいと思っていた矢先に
中野先生の今回の演目にあるということを知りました。
そして大切な本番の前に、こちらの希望(我儘)をお聞き下さり
一番後ろ通路側の席までご準備下さいました。
 
昨夜はホールに入るまで、緊張して!
でも、座席に着くと不思議なほどに落ち着き、
幕が開けてシューマンの音色が流れ始めた時には、
ステージが涙で見えなくなってしまった・・・。
包み込むような柔らかく深い音色に感動しながら
歳月を振り返っていました。

・・・ここにまた来るまで、八年かかったんだなぁ。
 
隣の座席に、父が座っているような気もして。
 
 
 
  
 
 
 
 曲目の構成もとても良かったし、演奏は人生でたくさんのホールで聴いた中で
一番素晴らしかったです。
 
アンコールまで、全身を耳にして聴き惚れていました・・・。
私は辛口の人間なのですが、昨夜は文句なしに夢の中にいたんです。
 こんな夜を、また人生で味わうことが出来たなんて!
 
 
もちろんだからといって、何もかも以前のように戻るというわけではありませんが、
少しずつ、こういう機会もあるのではないかしら。
 本当に行きたい演奏会であれば、大丈夫な気がする。
 
 同じような境遇の人には、焦らずゆっくりと言いたいです。
そう、無理しないで。
いつか出来る日がくるかもしれないけれど、
出来なくたっていいのです。
 
 
 餅は餅屋ということで・・・
演奏会についてはこちらをどうぞ。