箱根の彫刻の森美術館へ、
「舟越桂 森へ行く日」展に行ってきました。
無事にこの日を迎えられるのか、わけもなく不安な幾夜を過ごし
やっと辿り着いて実際に目にした彫刻たちは
こんなにも空洞があったのか?と思うほどに
心を満たしてくれました。
溢れ出ようとする感情とせめぎ合いつつ、それぞれと対話した時間は
生涯忘れることはないと思います。
展示されていた作品の中で、特に強く心をとらえたのは
作品集でも同じく引き付けられた三体。
旧朝香宮邸での展示風景より、「遠い手のスフィンクス」。
スフィンクスのシリーズが好きです。
この不思議な身体のフォルムに違和感を覚えることはありません。
むしろそこに、人間に無い美しさや荘厳さを覚えます。
そして聖母マリアを思わせる「水に映る月蝕」
目は象牙で作られているのですが、この作品の瞳は取り分け美しくて
この写真では伝わりにくいのが残念。
とにかく神々しかった・・・。
パートナーは「これが一番好き。」と。
舟越作品の女性は、いつも甲田益也子さんに似てるな~と思います。
図録より。
「戦争を見るスフィンクス Ⅱ」
この作品が展示されると知り、矢も楯もたまらなくなったのでした。
これは圧倒的だった・・・。
こんな作品を作った人が、もうこの世にいないとは・・・。
けれど作品は生き続けます。
多くの作品の瞳は、やや外側に向けられていて
遠くを見ているよう。
これは遠くを見つつも、自身の内面を見つめているのだということ。
まださまざまな気持ちが入り乱れ、なかなか言葉が出てきませんが
自分の人形作りというよりも
この先の人生の何か指針となるような・・・
そんな体験でした。
そしてこんな体験は、人生でそう何度も巡らないのです。