1/04/2013

石阪春生先生のお宅へ その2



石阪先生。
83歳とは思えぬ、ダンディーで、
まさに軽妙洒脱という言葉がぴったりな方。


私が先生の絵に出会ったのは、ぼんやりとした記憶を辿ると
どこかの地下のような場所での壁画だった気がします。
多分、 まだ小学生くらい。
しかも、一度見ただけだったので、後々まで尾を引いたのは
よっぽど印象深かったのでしょう。

もの心ついた時に、そこが何処だったのか散々調べてみましたが
多分、三ノ宮駅の地下だったのだろうと思います。
子供の時分は滅多に神戸には行きませんでしたから、
一度しか目にする機会が無かったのも
その場所なら頷けます。


先生のライフワークである「女のいる風景」から感じるのは、ノスタルジー。
子供の頃見たそのままの世界が、時代は流れていても
そこだけは時が止まったように今でもある・・・
それに、強烈に惹かれます。
そして、女性の退廃的な雰囲気、キャンバスに溢れる混沌、
どれもが心に引っかき傷をつけ、 痛いのだけれど、見つめずにはいられない。

私の中では、そんな感じなのです。
ただ綺麗だとかでは無く。

けれど、お会いした石阪先生は、お話がとてもお上手!
作品と同じように、混沌としたところはお見受け出来ず、すっきり軽快!
何より心に残ったのは、その楽しい会話が、誰をも傷つけないものだということ。
たいがい、面白い会話というのには、毒が含まれるものですが
そういったものの無い、洗練された楽しさでした。
もう、どれだけ大笑いさせてもらったことでしょう。

今取り掛かっている作品集の写真を持って行ったのですが、
どれもゆっくり丁寧に見てくださり、
おまけに人形も刺繍も、よく褒めて下さって、
本当に心根の優しい方だとしみじみ感じました。


帰り際には、とても美しく作られたカレンダーをいただきました。




先生の独特の女性たち。





ポートピアホテルでも見た、猫!
娘のボランティア等もあり、猫という存在が
随分身近なものとなりましたが、
こちらは、なんとも愛くるしい猫ちゃん。




そして、全部人形を描いている年のもあった、と
わざわざ探して、これもくださいました。

嬉しかった!





好きな作品に、特に説明を求めない性分で
せっかく先生にお会いしても、なにひとつお聞きしたいことがなかった私ですが
いろんなお話に耳を傾けさせていただき、
絵だけでない、もっと大きな根本的なものを
吸収した1日でした。

素晴らしいお正月、忘れられない経験。