1/29/2013

窯と猫


 昨秋に、人形の窯焼きが夜までかかってしまった時のこと。


そろそろ終わったかな、と窯を置いている物干し場に見に行くと、
シャーシャーという音が聞こえます。
ふと足下を見ると、近所の野良猫チャップリンがこちらを威嚇していました。

火が点いていた窯の下には、仔猫が3匹!

チャップリンが シャーシャーいっている間に、仔猫たちは、順番に一匹ずつ逃げて行き、
最後には母猫チャップリンも風のように去って行ったのです。

残された人間は、ただただ感心するばかりでした。


母猫の鑑・チャップリン

 自分が囮となって、仔猫を逃がした行為にも深く心動かされましたが、
常に快適な場所を探し、仔猫を導いているのですね。


その夜、もう一度窯焼きが終わっているか確かめに行ったのですが、
また同じ光景が・・・・・・。

「もう、いいわ!今夜はもう覗きに来ないから、
おまえさんたちは、ここでゆっくり お眠り!」

童話のお話のように、ほのぼのとした夜でした。

そして年が明け、一昨日からまた窯焼きを始めているのですが、
毎回、期待してそっとドアを開けてみるのだけれど
仔猫たちも大きくなり、見かけなくなったので、
窯の周りはひっそりしています。

ちょっと残念。
これが燃えている間は、ここで暖をとっていいんだよ、と思うのに。
まして、この寒さですから。






新しい人形のボディが焼きあがるまで、
展覧会用に昨年から作りためている人形たちの
まだ完成していない部分を仕上げています。

今日は、このサークル・ドット。
独特の頬っぺたが、まるで「ハゼドン」のようだと
毎回思わずにはいられないのです。