昨秋に、人形の窯焼きが夜までかかってしまった時のこと。
そろそろ終わったかな、と窯を置いている物干し場に見に行くと、
シャーシャーという音が聞こえます。
ふと足下を見ると、近所の野良猫チャップリンがこちらを威嚇していました。
火が点いていた窯の下には、仔猫が3匹!
チャップリンが シャーシャーいっている間に、仔猫たちは、順番に一匹ずつ逃げて行き、
最後には母猫チャップリンも風のように去って行ったのです。
残された人間は、ただただ感心するばかりでした。
母猫の鑑・チャップリン |
自分が囮となって、仔猫を逃がした行為にも深く心動かされましたが、
常に快適な場所を探し、仔猫を導いているのですね。
その夜、もう一度窯焼きが終わっているか確かめに行ったのですが、
また同じ光景が・・・・・・。
「もう、いいわ!今夜はもう覗きに来ないから、
おまえさんたちは、ここでゆっくり お眠り!」
童話のお話のように、ほのぼのとした夜でした。
そして年が明け、一昨日からまた窯焼きを始めているのですが、
毎回、期待してそっとドアを開けてみるのだけれど
仔猫たちも大きくなり、見かけなくなったので、
窯の周りはひっそりしています。
ちょっと残念。
これが燃えている間は、ここで暖をとっていいんだよ、と思うのに。
まして、この寒さですから。
新しい人形のボディが焼きあがるまで、
展覧会用に昨年から作りためている人形たちの
まだ完成していない部分を仕上げています。
今日は、このサークル・ドット。
独特の頬っぺたが、まるで「ハゼドン」のようだと
毎回思わずにはいられないのです。