先日焼き上がって、ショートボブのウィッグをかぶせた子に
ロングの人毛のウィッグを作っていました。
それを今朝、鋏で粗方整えて、試着。
裸ではなんだなぁ・・・と、ゴーティエのドレスを拝借。
あら、可愛いじゃないの。
次にエミール・ジュモーから帽子を借りてきて
ちょこんと頭に乗せてみました。
なかなかよく似合っています。
けれど、これは借り物だから、
貴女には違うシルクでドレスを縫ってあげましょうね。
さて、どの色のシルクを選ぼうか!
ふふふ・・・やっぱり人形作りは楽しい。
作るという作業自体が好きなのですが、人形は特別。
仕事がこんなに好きだというのは、神さまに感謝しなくてはいけないこと。
有難いことです。
*
そしてちょうど昨年の今日、岐阜の御首神社へ行きました。
父が極端に症例の少ない頭部の癌だと分かり、なにひとつしてあげられなくて
ぼろぼろな心に浮かんだ欲求が、神頼みでした。
母がこの気持ちを汲んでくれ、兄がすぐに車を出してくれて
娘とパートナーは留守の家を守ってくれて。
この時の家族の温かみは、生涯忘れることはありません。
父が亡くなる1週間前に、私はもう一度神頼みをしたのですが
その御守りを見て電話口の父が
「お父さん、御守りだらけになってしまう!」と笑った声が
昨日のことのように耳に残っています。
こちらの気持ちだから、と言うと、「うん、どうもありがとう。」と嬉しそうに笑って
「なっちゃんの編んでくれたの、点滴の時にしてるよ、温かいよ。」
そしてもう一度「ありがとう!」と言った言葉が、最期となりました。
私がその時、父に最後に返した言葉も「ありがとう」だから
こんなふうに言いあえたことは、奇跡だったのかもしれません。
だから、もっともっと、人にありがとうと伝えなければいけないんだ。
そんなことを今日も、思っていました。