2/21/2013

鞄とティーセット


 数えるくらいしか使ったことのない、宝物のティーセット。
これは、16年前にパリの骨董屋さんで見つけたもの。
 これを手に入れられたのには、ちょっとエピソードがあるのです。


その当時、旅に出る前に父が、
「向こうでいい鞄を買いなさい。」と
餞別をくれました。

なぜ鞄なのか?

後で聞いてみたところ、
父が見た私の愛用鞄が、とてもみすぼらしかったのだそうです。
これはみっともないし、可哀そうではないか・・・
それで、見かねてそこそこのバッグを買えるお小遣いをくれたのでした。

・・・が、もらった瞬間から、鞄を買う気はさらさら無かった!
何か、一生大切に出来るようなものに出会ったら、このお金を使おう。
もし出会えなかったら、生活費にしよう!

 


パリで素敵な骨董屋さんに入り、ゆっくりと夢のような店内を見回っていると
奥のキャビネットに、このティーセットがありました。
こんな綺麗なものが、壊れずにこうやってまだ残っていて、
私を待っていたかのように!(勝手な妄想)

でもまさか、買えるとは思わなかったのです。
 
このセットには、他にお揃いの陶器のトレイとケーキ皿が10枚ついていました。
ずっと見ていると、店主さんが
ティーカップ10客とティーセット・シュガーポット・ミルク入れ
それだけでもいいですよ、と言ってくれたのです。

そして、その値段なら、持っているお金で買えたのでした!



 嬉しくて、帰りの飛行機では抱えて帰りました。
なんだか、ものというよりも、古い時代の夢を買ったような・・・
そんな不思議な気持ちだったのを覚えています。



残念ながら長旅で、カップは一客割れていましたが、その欠片も大切にとってあります。
とても捨てられません!

そして、「鞄買ったか?」と父には聞かれたけれど
「鞄よりずっといいものを買った!」と答えたと思います・・・多分。





そのお店には、おとなしいワンちゃんがいて、
私がティーセットに釘付けの間も、5歳の娘の相手をしてくれていました。
懐かしい1枚。


ヨーロッパのお店の犬は、皆お行儀いいですねぇ。

昨日、父のヘルニアの手術が無事終わり、
「そういえば、このティーセットがあるのは、父のおかげだなぁ。」と
しみじみ思った1日だったのでした。