数えるくらいしか使ったことのない、宝物のティーセット。
これは、16年前にパリの骨董屋さんで見つけたもの。
これを手に入れられたのには、ちょっとエピソードがあるのです。
その当時、旅に出る前に父が、
「向こうでいい鞄を買いなさい。」と
餞別をくれました。
なぜ鞄なのか?
後で聞いてみたところ、
父が見た私の愛用鞄が、とてもみすぼらしかったのだそうです。
これはみっともないし、可哀そうではないか・・・
それで、見かねてそこそこのバッグを買えるお小遣いをくれたのでした。
・・・が、もらった瞬間から、鞄を買う気はさらさら無かった!
何か、一生大切に出来るようなものに出会ったら、このお金を使おう。
もし出会えなかったら、生活費にしよう!
パリで素敵な骨董屋さんに入り、ゆっくりと夢のような店内を見回っていると
奥のキャビネットに、このティーセットがありました。
こんな綺麗なものが、壊れずにこうやってまだ残っていて、
私を待っていたかのように!(勝手な妄想)
でもまさか、買えるとは思わなかったのです。
このセットには、他にお揃いの陶器のトレイとケーキ皿が10枚ついていました。
ずっと見ていると、店主さんが
ティーカップ10客とティーセット・シュガーポット・ミルク入れ
それだけでもいいですよ、と言ってくれたのです。
そして、その値段なら、持っているお金で買えたのでした!
嬉しくて、帰りの飛行機では抱えて帰りました。
なんだか、ものというよりも、古い時代の夢を買ったような・・・
そんな不思議な気持ちだったのを覚えています。
残念ながら長旅で、カップは一客割れていましたが、その欠片も大切にとってあります。
とても捨てられません!
そして、「鞄買ったか?」と父には聞かれたけれど
「鞄よりずっといいものを買った!」と答えたと思います・・・多分。
そのお店には、おとなしいワンちゃんがいて、
私がティーセットに釘付けの間も、5歳の娘の相手をしてくれていました。
懐かしい1枚。
ヨーロッパのお店の犬は、皆お行儀いいですねぇ。
昨日、父のヘルニアの手術が無事終わり、
「そういえば、このティーセットがあるのは、父のおかげだなぁ。」と
しみじみ思った1日だったのでした。