3/14/2014

藤田嗣治の人形 その2




譲っていただいた話をしましたが、今日はその続きを。


お話をいただいた時、人形は2体あるのだとお聞きしていました。
 我が家に送られてきたのは、前回ご紹介したレディドール以外に
もう一体存在したのです。





 箱から最初に出てきたのはレディ・ドールでした。
その顔をひと目見て、このレディをいただこう、と心は決まりました。

その下に厳重に梱包されていたのは、このベビー。
この子と対面した時、正直困ってしまったのです。
いただくのはどちらか1体と思っていましたから・・・

このビスクのベビーも、大変繊細なペイントが施され、
どこか惹きつけるものがあったのです。








この子はぴったりのサイズのゆりかごごと、フランスからやってきました。
 フジタの家で、こうやって揺られていたのだろうなぁ・・・
小さな歯が覗く、真ん丸顔の子。


一人で眺めていた時、それは起こりました。

ドレスの下のボディを触ってみると、何やら硬い。
めくってみて初めて、オートマタ(機械仕掛け)であることが判明。

腰部分についているゼンマイを回してみると、
両手を愛らしくこちらに向かって動かし、「ママン!」と言ったのです!!

・・・え!? わたしのこと!?


ビックリしてすぐさま一階に駆け下り、母に話してもう一度ゼンマイを巻いてみせましたが
手は動かしてくれましたが、言葉はそれ一度きりでした。

けれどたった一度のその言葉が、なんとも私には大きかった。

 ママン・・・。





 家族からは 「それは幻聴だよ。」と言われましたが、
確かにこの子の発した言葉でした。

言葉というか、殺し文句というか・・・・・・。


で、このベビーは我が家に今もいるわけなのです。






私はずっと以前、アンティークドールに憧れ、追いかけ手にし、
結局は仲良くなれずに数年後手放したことがあります。

だから、すごく慎重な気持ちでした。

もう二度と、そういうことはしたくなかった。

けれどこの子たちは、とても気持ちが安らぎます。
愛情があり、手放すことは考えられないので、家族という気持ち。


 私の作った子たちも、こんな気持ちで迎えてもらっているのだろうなぁ・・・
今回、初めてそんな気持ちを味わいました。

人形って、どうしてこんなにも特別なんだろう!




名前はまだこれから、じっくりと 。
それを考える時間も、また至福の時ですね。