この大きなブリュを作っているとき、
ブリュらしい、きりっとした子に・・・と心がけたのですが、
今朝、最終仕上げをしたボネットを被せ、眺めてみると
頬をつつきたくなる様な、少しぼんやりとした子になっていました。
人形は、最後の仕上げに一番時間を費やします。
どこで完成か、それを自分自身で見定め、思い切る寸前に
かなりのエネルギーを注ぎ込む。
だから、甘いものとお茶が、どうしても必要なのです(と、正当化)!
でも、あながち言い訳ともいえません!
日常生活ではぼ~っとして怒られてばかりですが、
人形の作業、殊に最終段階では、
普段見られない集中力を発揮していますから。
(誰も言ってくれないので、また自分で言ってみる。)
このブリュは、70cmもあり、本当に小さな子供のようです。
人形には、周りの空気を変えてしまう力がありますが、
この子は大きさもあり、その魔法をフルに発揮してくれそうです。
でも、珍しいピンクのアンティークレース に合わせたドレスが
その空気を、ほわんと柔らかに緩和しています。
さて、秋ということで、目にも耳にもさまざまな催しが目白押し。
今夜はヴァイオリンの演奏会へ、出かけてきます。
秋には弦の音色が心地よいもの。
そして、先日の展覧会の帰り、ちょうどパートナーと「海潮音」の話題になり、
秋の日のヴィオロンの・・・ということで、
ヴェルレーヌの「落ち葉」を。
秋の日のヰ゛オロンの
ためいきの身にしみて
ひたぶるにうら悲し。
鐘のおとに胸ふたぎ
色かへて涙ぐむ
過ぎし日のおもひでや。
げにわれはうらぶれて
ここかしこ
さだめなくとび散らふ落葉かな。
ためいきの身にしみて
ひたぶるにうら悲し。
鐘のおとに胸ふたぎ
色かへて涙ぐむ
過ぎし日のおもひでや。
げにわれはうらぶれて
ここかしこ
さだめなくとび散らふ落葉かな。
上田敏訳