9/28/2008

彼岸花




 彼岸花を初めて見た時の記憶は、それから30年近く経った今でも、私の中に鮮烈に刻まれています。


従兄弟の家に遊びに行った時のこと。
私の住んでいる環境には無かった、田んぼのあぜ道をふざけあって歩いていると、前方に真っ赤な花の群れが、あちこちに大小の固まりを作って咲いていたのです。

駆け寄ってみると、その花弁とぐるりと取り囲んだひげは、まさに絶妙なバランスで、今まで受けたことの無い衝撃でした。
そう、花というよりむしろ、芸術品のようでした。

けれど、それにもまして驚いたことは、従兄弟が 「これ、彼岸花!」と、何のためらいも無く、ぽきっと折ってみせたことです。

・・え!? こんなすごい花、摘んでいいの・・・!???

けれど結局は、母に見せたさに、従兄弟と一緒にたくさん摘んで、持って帰ったのですが。


彼岸花・・・曼珠沙華とも呼ばれるこの花は、その時に従兄弟が教えてくれた通り、私は今でもそう呼んでしまいます。
この花の球根には、毒が含まれているそうで、確かに見方によると毒々しい花ですね。

6年前の秋にこの家に越してきた時、裏庭の土手の上に彼岸花の一群れを見つけた時の喜びは、この子供の頃の記憶とすぐに結びつきました。
そして、その後も秋が巡ってくるたび、また今年も会えたという親しみの気持ちに変化しながらも、やはり嬉しい気持ちにさせてくれます。
そして、同じく秋の到来を告げてくれる萩やセージの花達。
鈴虫やこおろぎの鳴き声とともに、この大好きな季節を楽しんでいます・・・。