昨日、図書館から借りてきた、彫刻家・舟越桂の「夏の邸宅」という作品集。
舟越桂については、今まで好きでも嫌いでもなかったのですが、これを開いた時には、久しぶりに強く惹きつけられるものがありました。
それには、撮影されたロケーションが大きく影響していると思われます。
その場所とは、東京都庭園美術館。朝香宮邸として昭和8年に建てられた建物。そして、以前から行ってみたいと思っていたところです。
近頃、廃墟ばかり写した本が出回っていて、ということは小さな「廃墟ブーム」が起こっているのでしょうが、なんとなく、そんな匂いも感じさせられます。
廃墟と言ってしまうには、掃除の行き届いた(定期的に人の手が入っている)美しいアールデコの空間。だとすれば、それを感じる理由は、「絶対に、生きている人が住んでいない場所」という空気が流れているからからでしょう。
建物と作品の相乗効果で、ここまでお互いが高められるものか・・・と感嘆してしまいました。
舟越氏の彫刻の良さも、このロケーションにあることで、気付くことが出来ました。
さて、本の裏を返すと、¥3780・・・・・・ビミョーな金額。
この先、図書館で何度か借りて、それでもどうしても本棚に加えたい時は、古本屋さんで探したいと思います。
この作品集は、昨年夏に、東京都庭園美術館で開催された展覧会をそのまま本に閉じ込めたものだそうですが、この空間を、大勢の人と一緒に共有するなんて、ちょっと考えられません!
本の中で、一人で巡る展覧会・・・その方が十分にゾクゾク感があり、満たされると強く思うのですが・・・どうでしょう?