1/15/2009

偶然の再会

 人は、成人するまでも、した後も、たくさんの先生に出会います。

けれど、月日が経って行くに連れて、会いたくてもなかなかその機会の無いのは、子供の頃に教わった先生。

卒業後に積極的に連絡を取り合っているので無い限り、今どこで教鞭をとっていらっしゃるのか、または引退されてどうしていらっしゃるのかは、分かりません。

小さな子供の頃は、自分が学校を卒業することが、そんな縁からもフェードアウトして行ってしまうことにも気付かないまま、新しい環境への期待と不安だけを胸に、去って行ってしまった気がします。

私は、活発からはほど遠く、いつも空想に耽っている生徒でした。
授業中も、「ぼ~っとしている!」と注意され、しかもぼ~っとしているので注意されていることにも気付かず、はっと気が付いたらクラスメートがみんなこちらを見て笑っていたという事も、何度もありました。

そんな生徒だったこともあってか、心のキャッチボールが出来たと思える先生は、長い学生生活の中で、ほんの数人しかいません。そして、今そのわずかな先生方がどうしていらっしゃるかは、知る由もないのです・・・。


今日、老松町まで、毎年出かけている日本画展に出かけて来ました。

ギャラリーには、私と母と、他に1人の男性が絵を鑑賞していました。

ギャラリーのオーナーが、お茶を出して下さったので、私たち三人は同じ席でご一緒することになり、男性とギャラリーオーナーの会話から、私たちも時々出かけるギャラリーで個展をされ、さらに同じH市に住んでいるということが分かりました。

男性が差し出して下さった名刺を見て、ビックリしながらも、叫びました!

「N先生!私のこと、覚えていますか!?」

なんと、私の中学1年生の時の担任の先生だったのです!

「いやぁ、どこか見覚えのある方だと思っていました!」

いやはや、26年ぶりの再会でした。

先生があまりにも若々しかったので、私は名刺を見るまでは全く気付かなかったのです。

その後は、当時でさえ、こんなに先生と会話をしたことが無かったくらい、お互いの近況を賑やかに報告し合い、先生の(美術の先生だったのです)絵の写真を見せていただいたり、私の人形を見ていただいたりで、26年の長い歳月があっという間に埋まってしまうような、心が温まる時間を過ごしました。

「今、立派に成長され、こうやって同じ芸術の世界にいることがとても嬉しい。」と先生はおっしゃって下さいました。

ギャラリーの外で、いつまでも帰られる後ろ姿を見送っていると、角を曲がる時に、先生が振り返って下さいました。
・・・そう、当時からそんな先生でした。

私の欠点には一つも触れずに、良いところだけを探してほめてくださったことは、今も忘れられません。
どの生徒にも平等に接し、機嫌の悪い姿を見せることは一度もありませんでした。
そして、先生のその姿勢は今も変わることもなく、歳だけは大人になった私を、ただ、嬉しそうに見つめていらっしゃいました。

N先生は、私と心のキャッチボールをして下さった、数少ない先生のうちの一人です。

「展覧会には、必ず行きます!」

先生の言葉を胸に、また人形に向かう気持ちが新しくなりました・・・。