10/07/2009

アップル・クランブルケーキと森茉莉の秋



 秋になると、紅玉を箱で買います。

その小さくて酸っぱい紅玉を使って、
アップル・クランブルケーキを焼きました。

林檎を煮て、その上にそぼろ状にしたクッキー生地(クランブル)を散らし
20分程焼くだけの簡単なものですが
林檎の酸味と、甘いクランブルのサクサク感が美味しい、
秋にぴったりのお菓子です。

初めて焼いたのは、高校生の頃。
今でもその頃のお菓子の本は、料理本の棚に並んでいます。


それにしても・・・
「林檎」という字を見ると、
それが持つちょっと甘酸っぱいような風情がいいなぁ・・・と思います。

鴎外の娘、森茉莉の文章には
漢字にしてみると、耳で聞くよりも格段にそのものが美しく感じられるような
そんな言葉があふれています。

例えば、エッセイ「貧乏サヴァラン」なんかをぱらぱらとめくってみると、
心の琴線に響く言葉がつぎつぎと目にとび込んで来ます。

洋杯 牛酪 洋袴 肉汁 瑞西製チョコレート 薄荷糖
羅馬字 火熨斗 挽茶色 羅典街 などなど・・・

もっと素敵な言葉がいっぱいなのだけれども、
旧字が多いため、変換できず・・・
旧字は、それ自体が雰囲気のあるものなので、
無理に変換すると損なわれますしね。

もちろん、これらの言葉には、旧字体の読み仮名がふってありますが、
それがまた、いいのです。

秋は、森茉莉の文章を読む。
それだけで至福の時。


* 彼女の小説は、耽美の極みで私は大好きですが、パートナーに読ませてみると、「あの纏わり付くような文体がダメ。」と、珍しく拒否反応を示しました。
けれど、誰にでも受け入れられるわけでは無いから、森茉莉は良いのです。
でも、エッセイならきっと、楽しんで読んでもらえるように思うのですが・・・!