9/28/2008

彼岸花




 彼岸花を初めて見た時の記憶は、それから30年近く経った今でも、私の中に鮮烈に刻まれています。


従兄弟の家に遊びに行った時のこと。
私の住んでいる環境には無かった、田んぼのあぜ道をふざけあって歩いていると、前方に真っ赤な花の群れが、あちこちに大小の固まりを作って咲いていたのです。

駆け寄ってみると、その花弁とぐるりと取り囲んだひげは、まさに絶妙なバランスで、今まで受けたことの無い衝撃でした。
そう、花というよりむしろ、芸術品のようでした。

けれど、それにもまして驚いたことは、従兄弟が 「これ、彼岸花!」と、何のためらいも無く、ぽきっと折ってみせたことです。

・・え!? こんなすごい花、摘んでいいの・・・!???

けれど結局は、母に見せたさに、従兄弟と一緒にたくさん摘んで、持って帰ったのですが。


彼岸花・・・曼珠沙華とも呼ばれるこの花は、その時に従兄弟が教えてくれた通り、私は今でもそう呼んでしまいます。
この花の球根には、毒が含まれているそうで、確かに見方によると毒々しい花ですね。

6年前の秋にこの家に越してきた時、裏庭の土手の上に彼岸花の一群れを見つけた時の喜びは、この子供の頃の記憶とすぐに結びつきました。
そして、その後も秋が巡ってくるたび、また今年も会えたという親しみの気持ちに変化しながらも、やはり嬉しい気持ちにさせてくれます。
そして、同じく秋の到来を告げてくれる萩やセージの花達。
鈴虫やこおろぎの鳴き声とともに、この大好きな季節を楽しんでいます・・・。

9/19/2008

秋の夜長はKnitting!















 秋風が吹いて、朝晩が涼しく感じられるようになってくると、編み物がしたくなります。


そう、秋の夜長はなんと言っても、読書と編み物です。


と言いつつも、実は夏の暑い時期も、今年は編み物を手にする夜がありました。

11月に、娘がヨーロッパに行くので、その時に使う防寒用の帽子を編んでいたのです。

昨年の同じ頃のヨーロッパは吹雪だったというので、早めに用意を・・・と夏にひとつ。

毛糸屋さんで見つけたパターンは、外人の女の子の横顔が可愛い帽子。
娘に、
「これ、どう?」
と聞くと、

「わぁ、かわいい♪ ・・・でも、やっぱ外人さんだからいいんじゃない?」
と、弱気な発言。

そんなことないで、かなちゃんでも、結構イケると思うで~と仕上げた帽子です。



そして、これから肌触りが良くて、寒さから首をすっぽりと守る長めのマフラーと、手袋は昨年に編んでやりましたが、予備にもう一つ(手袋を無くしてしまったら、指がかじかんでピアノが弾けませんからね!)編む予定です。


編み物は昔から大好きなのですが、海外では男性が仕事帰りに編み物を持ち寄って、おしゃべりを楽しみながら編むニット・カフェが人気だそうです。なんでも、ストレス解消になるそうな。

私だったら、そんな場所では絶対に間違えてほどいてばかり・・・ということになりそう。今のところ、編み物は病院の待ち時間と夜のリラックスタイムだけで十分です。


もちろん、日中は人形作りを地道に頑張っています。今月は鋳込み作業や窯を稼動しながらなので、小さなぺティート・ブリュの衣装作りを並行してやっています。

リカちゃんサイズの小さな小さな人形。

けれど、衣装を着せると、立派な一人前のビスクドールに・・・。

9/16/2008

アイスボックス・クッキー



 
 「ママ、クッキー教えて!学校に持って行きたい!」
ということで、娘にクッキーを教えることとなりました。
希望は型抜きクッキーでしたが、まだ残暑真っ只中のキッチンでは、いくら冷蔵庫で生地を休ませても、手早く作業しないと、上手く抜けないので、今回はもう少し落ち着いて作れるアイスボックス・クッキーにしました。
まだピアノを練習中だった娘に、
「ママが材料だけ先に計っておこうか?」と聞くと、娘は渋い顔。そうかそうか、基礎からきっちりやりたいわけやな?よし、今日は時間がかかること覚悟で、娘にやらせることにしました。
お菓子作りは、計量が大切ですが、私はかなりアバウトです。もちろん、初めて作るものは、きっちり計りますが、慣れたものは誤差はオッケー。けれど今回は、本を見ながらきっちりと・・・。
2種類の生地を作るのも、お菓子作り初心者の娘には良かったようです。
まずはバニラの生地、そしてココア生地。材料は少し違いますが、同じ作業なので、後のココア生地の方が少し手馴れて早く出来ました。
生地を冷蔵庫で休ませ、模様を作るところは二人で。ここが一番楽しかったね!
焼いているあいだに後片付け。それも大切なこと。
最後には二人でオーブンの前に座り込み、ふっくらと焼きあがるクッキーに歓声!
ココアの甘い匂いの香る中で、早速お茶の支度です。
それにしても、二人でするお菓子作りも、賑やかで楽しいもの。たくさん作りすぎたので、おじいちゃんにもおばあちゃんにもおすそ分けです。
今度はココアの代わりに、娘の大好きな抹茶を入れてみようかな?
きっと、このクッキーの第二弾が作られる日も遠くありません!

9/10/2008

ダンケ・箕面店





 市松人形の着物用の古布を求めて、時々箕面まで車を走らせます。
先日は、人形用ではなく人間サイズの「はこせこ用」の古布を探しに出かけました。・・・が、なんと以前京都でとても気に入って、けれどはぎれしか無かったものと同じ生地を発見!(こんなことは、滅多に無いことなのです。)
しかも、古布にしては意外にお値打ち品だったので、購入して来年の展覧会用の着物をもう1着縫うことにしました。もう私の頭の中には、その着物を着て佇んでいる人形の姿が見えています・・・。
人形を作り始めた時は、上から下まで、全ての作業(中には、大工のようなことまで!)を手作業することに苦労を感じていましたが、だんだんに、それは歓びの作業となりました。
人形と向かい合いながら、「どんなのが似合うかな?」と考え、合わせて形にして行く工程は、本当に楽しいものです。
おかげで、家中、材料だらけで片付きませんが・・・(涙)。
「軽く食事出来る場所は?」と、古布店のオーナーさんに教えてもらった「ダンケ」は、その小さな入り口からも、何かありそう!な予感のするお店でした。
ドアを開くと、暗い店内は、木の板の床に、同じ木のテーブル。
一つのフロアーを工夫して、木材で様々な自然な間仕切りを配置し、いくつもの、それぞれに表情豊かなスペースが・・・。
きっと、行くたびに 「今日はどの場所で珈琲を飲もうか・・・」と、迷うのが楽しいだろう、素敵なお店でした。
そして、珈琲はバター焙煎という、独特の焙煎方法。とてもコクのある美味しい珈琲。
出口には、古いオルガン。
こんなお店が近所にあったら、いいでしょうね・・・。

9/08/2008

ミニ・サイクリング




 あぁでもない、こうでもない・・・と探していた自転車。
いざとなったら、「やっぱり、そうそう買い換えるものではないから、変速も付けておこう。」などなどで、結局は予算を軽くオーバーしてしまいました。(でも大丈夫。こういう時のために、500円玉貯金をしていたのですから!)
待ちに待って届いた自転車は、一見、思い描いていたよりもおとなしめのデザインでしたが、色はまさに私が日々愛飲している、ミルクティー色、同じ色のペダル、そしてプラスチックっぽくない(!)籐の前かごも付けてもらって、一応これでもカスタマイズカーなのです。
昨日は、一番の目的であった、Y池公園への2度目のサイクリング。
実は、1度目に行った時は、慣れないペダルこぎにへとへととなり、次の日は折角の演奏会に、筋肉痛の足で出かけるということになってしまいました(恥)。
でも今回は、変速機の使い方もよく分かり、前回は辛くて耐え切れずに自転車から下りてしまった坂道も、頑張って乗り越えることが出来ました!
それにしても、Y池公園は、広大で素敵な場所です・・・。途中のベンチで、水筒のお茶をひと口。
セラフィンを乗せてこられないのが、唯一の残念なことかな?(大きすぎて、前かごにとても入りません。)
このサイクリング、週に2度!と今は考えていますが、なにぶん運動不足の私。
森林浴も兼ねて、これからの季節はなるべく回数を増やしてみたいと思います。
家を出て、帰宅するのにちょうど1時間。それ以上でも以下でもないこの時間がまた、私の今の生活にピッタリだったりします。
 食料庫のおやつが無い!昨日はそんな日でしたから、もう20年も焼いている一番簡単で一番美味しいクッキーを、サイクリングに出かける前に急いで焼きました。
毎日帰宅が遅い娘は、このクッキーがあると聞いて、もらっていた葡萄を冷蔵庫にしまい、食料庫に飛んでいきました(笑)。
「私にも焼けるかなぁ?」
もちろん、焼けるよ!ママだって、かなちゃんの年頃にはいつもこれを焼いていたんだからね!


9/07/2008

林檎のお菓子






 秋の兆しを感じると、焼き菓子を作りたくなります。
それも、きまって林檎のお菓子。
いつも新物の林檎を箱で買うので、食料庫には、食欲をそそる林檎達が山盛りになっています。
夕食後に味わう、シンプルに8つに割ったみずみずしさも、もちろん最高なのですが、お茶の時間にはやはり、形を変えて、紅茶に合うおやつにして食べたいもの。
まだ残暑の厳しい台所で、汗をかきつつ作るドイツのアップルクーヘン。
一口食べて娘が 「手作りの味だ!」とにっこりした通り、この優しいスポンジの味は、なんの変哲もないけれど、だからこそ究極の家庭のお菓子なのではないかなぁ・・・と思います。
先日、娘の友達がトロンボーンの練習に我が家に来ることになった時のこと。
学校からの帰り道のメールで、
「○○ちゃんが今度来るけど、おやつとか、きばらんでいいで~。」と娘。
「いんや、きばる!!」と返信する私。
せっかくお友達が来るのなら、やっぱり手作りのお菓子をふるまいたいのです、どうしても!
とは言っても、凝ったお菓子を作ったわけでは無いのですが、同じ生地で、中身をかえて2種類焼いておきました。
恥ずかしがりやのお友達は、帰り道に娘へメールで、
「言えなかったけど、ケーキとても美味しかったですと伝えてね。」とのこと。
こんな一言は、本当にうれしいものです。
今度は、どんなのを作ろうかな?
一番下の画像は、初めて作った「緑のカーテン」です。
ご近所でも、たくさんゴーヤで緑のカーテンを作っていらっしゃいますが、うちのこのゴーヤはなかなか立派!今夜あたり、ゴーヤチャンプルーに変身することでしょう。
まだまだ暑い9月の、夏ばて解消のメニューです。
 

9/02/2008

楽隊の人形




 一気に仕上げた12体分の靴作りは、やっぱり大変でした。

小さな靴は、細かい作業なので、手間がかかります。

けれど靴を履かせてみると、みんななんだか締まってきました。やはり人間も人形も、靴は大切ですね。

画像の男の子はもう少しで完成の、バスーンを演奏する予定の子です。まだ名前はありません。

楽器も大体集めたのですが、あとはヴィオラと、人形にちょうどよい大きさのチェロ。なかなか無いんですよね・・・けれど、頑張って探しましょう!

そして最大の問題は、みんながそれぞれに楽器を持って座る小さな椅子。

ホームセンターの材料を駆使して、なんとか作ろうと考えていますが、こういう時には 「母方の祖父がいてくれたら!」と心から思います。

祖父は大工だったのですが、残念ながら私が幼い頃に亡くなったので、ほとんど私の記憶にはありません。

職人(と認めて呼べる人)を心から尊敬する私にとって、もし祖父が生きていたら頼めたかもしれない、様々な人形用の家具を想像すると、作ってもらえる喜びよりもむしろ、それを接点に通わせることが出来たかもしれない、心の触れ合いを想います・・・。

不思議なもので、人形作りをはじめてから、この祖父のことを時々考えるようになりました。

こうやって、いつかは自分も、誰かの記憶となって行くのですね。その時はきっと、「人形を作っていた、可愛いもの好きの変なおばあさん。」とでも言われるのでしょうか(笑)?

そんな変なおばあさんの人形が、少しは処分されずに、後に残っているといいなぁと、ぼんやり思うのでした・・・。