3/28/2008

ミモザの季節






 家の前で庭作業をしていると、よく通りがかりの人から 「この木は何の木ですか?」と尋ねられます。
その木とは、我が家に4本あるミモザのことです。
この4本は、それぞれに種類も違うので、ミモザにはかなり多くの品種があるのでは・・・と思うのですが、我が家の4本に関して共通しているのは、常緑であるということと、葉の形は違えど、花はほぼ同じ形態ということです。
花芽は11月くらいからつき、桜の咲く頃には大満開!木も、毎年驚く程成長するので、4本は植えすぎかもしれません。
けれど切花にすると、1つ1つの花が小さな黄色い綿のように可愛らしく、ドライフラワーにするのも簡単なので、毎年楽しみにしています。
また、花もさることながら、幹の青みがかった色合いもとてもいい感じ。異国の色という雰囲気です。
先日も、家の前を自転車で通っていたご婦人が、私の姿を見つけて、あわてて自転車から降りて花の名前を尋ねられました。
「この木がとても素敵で、家の方がいらっしゃったら是非聞こうといつも思っていましたが、やっと・・・」とのこと。
ミモザを楽しみにして下さるのは、家族だけではないようで、なんだかちょっと誇らしい気持ちになります。
ちなみに、私は1番上の画像の「アカシア・リセッテ」という品種が一番好きです。
柳にミモザの花を付けたような、大変優雅な木です。
裏庭の土手には、気は付けばムスカリがたくさん、可愛い花を咲かせていました。
庭で育ったものは茎も長いので、たまご色のスミレと名も知らない雑草と一緒にテーブルに・・・。
明日はまた明日で、新しい発見が庭に出るとあるでしょう。
春の庭は、毎日がそんな小さな魔法で満ちていて、驚きと喜びの連続です。

3/25/2008

次女のこと

 3月を迎え、春を感じる頃になると、必ず思い出すことがあります。

それは、次女のことです。

私の親友と同じ誕生日、そして長女と全く、同じ木曜日の12時3分に生まれた次女は、私が二人の子どもの母になれた・・・と幸福な気持ちでいっぱいな時に、突然神に召されてしまいました。

毎年この季節は、春の喜びを感じる一方、心が締め付けられる想いにもかられます。


 そして今日、知り合いの画家の方達の2つの展覧会が、心斎橋の百貨店の美術画廊にてありましたので、母と二人で出かけました。

会場に入ると、すぐに1枚の絵が目に入りました。

それは、薄ぼんやりとした光の中に、死んだ蓑虫と枯れた柊の小さなひと枝が描かれた絵でした。


心の中がざわざわとしてきて、14年前の出来事が胸に甦ってきました。

    私の次女の名は、「柊」というのです。

次女の名前は、産まれるちょっと前に偶然読んだキリストのエピソードが心から離れずに付けました。
それは、キリストのいばらの冠から流れた血が、柊の赤い実になったというもので、なので柊は聖なる木と呼ばれるようになったというものです。

次女が亡くなった時、「こんな名前をつけたから亡くなった。」と言われ、苦しんだこともありました。

けれどその後、私はカトリック教会に通い、1年後に娘とともに洗礼を受け、娘は12年間カトリックの環境で学ぶこととなりました。

それは、たった1日しかこの世に存在しなかったけれど、次女が導いたのだと思います。

 展覧会のその絵は、本来なら枯れて寂しげであるだろう柊なのに、何故だか希望と安らぎを感じさせてくれるものでした。

それは、傍らに蓑虫がいたからだと思いました。

見入っていた私に画家の方が、

「この絵は、これまでも、そしてこれからもずっと寄り添っていく・・・という気持ちを表現したものです。」

と説明された時、不覚にも泣き出してしまいました。

あまりにも、私の心情と同じだったからです。 

次女は、いつまでも私の中で、小さな小さな赤ん坊のまま、確かに生き続けているのです。


今日は、本当にあの絵を見ることができてよかった。
これも、きっと何か運命のようなものだったのだと思うのです。

3/17/2008

ヒラリー・ハーンのシベリウス


 先週の土曜日、ヒラリー・ハーンとBBCフィルハーモニックの演奏会に出かけてきました。


ヒラリー・ハーン(以下、ヒラリー)も、以前聴いたバッハが素晴らしく、前回のシフと同じく是非一度生で・・・と願っていた人です。




チケットは予想通り高く、さんざん迷ったのですが、娘の刺激に若い感性豊かな演奏家もいいだろうと、思い切って購入しました。




曲目は、シベリウスのヴァイオリンコンチェルト。

ヒラリーとシベリウス・・・すごくぴったりな予感・・・!






 ところが・・・です!!




演奏会の1週間前に、パートナーが別の演奏会に行くことになってしまいました。


あまってしまったチケット1枚。誰か行く人おらんやろか・・・と思案して、ふと思いつきました。




「そうだ、Cちゃんを誘おう!」




Cちゃんは娘の仲良しのクラスメート。ヴァイオリン専攻なのですがとても上手で、ちょうどコンクールを勝ち抜いて、春休みに東京大会に出場が決まったところ。御祝も兼ねて誘ってみることにしました。



急な話でしたが、娘のメールにCちゃんは大喜び♪

娘も、普段は大人としか出かけない演奏会に、友達と行けるのが嬉しそうです。

私も、Cちゃんと楽しい時間が過ごせるように、演奏会後はホール横のホテルでのバイキングを予約しました!


当日は2階席だったのですが、ヒラリーのシベリウスはとても素敵でした。


自分の演奏が無い部分では、オケの方を向きながら、ゆっくりうなずくようにしてオケのメロディーに耳を傾け、また自然に自分の演奏に入っていく様は、まるで神話の世界の女王と侍従たちのよう・・・。


お互いに認め合い、尊重し合っている、素晴らしいコンチェルト。


娘達も、いつまでも拍手を惜しみませんでした。


そしてこの曲、Cちゃんのヴァイオリンにとっても合うような気がします。



演奏会後は、楽しい楽しいバイキングの時間(笑)。

私達はさほど食べませんが、Cちゃんはものすごい食欲!気持ちのよい食べっぷりで、きっと元をとってくれたことでしょう(笑)。

みんなで音楽の話、娘とCちゃんの学校での面白い話など、いっぱい笑ってその夜を締めくくりました。


多少しんどい時でも、「学校は絶対、休みたくない!」と皆勤賞で遠い道のりを通学している娘の気持ちが、よく分かった嬉しい1日でした。






3/13/2008

平田郷陽と青い目の人形展











 春らしいお天気の中、
今出川の同志社大学で開催されている、
平田郷陽と青い目の人形展に出かけて来ました。


同志社は、敷地内に重要文化財に指定されている古い建物がたくさんあります。

それだけでも、私にとっては嬉しい会場。

ましてそんなロケーションで平田郷陽の市松人形を見られるのですから、
とても楽しみにしていました。



大学内は梅が見ごろで、
とくにレトロな洋館を背景としたその姿は
昔にタイムスリップしたかのよう・・・。


 お目当ての平田郷陽の市松さんは、実際に見るととても大きなもので、
まんまるのお顔にぴったりの上品な目鼻立ち。

やさしい表情の女の子でした。


同じ会場に、市民の方達が持ってこられた市松人形も飾られていました。

それも普通に家にある親しみやすいものから、
人形師さんにオーダーされた特大のものまでさまざま。

自分の人形を大切に思う気持ちは、みな一緒なのです。
まるで、市松人形の同窓会のようでした。
西洋の人形には、高貴な魅力を感じますが、
市松さんはそばに置くと本当に心が和み、癒されます。
やはりそれは、私が日本人だからなのでしょうか?


帰り道、三条の「みすや針」に寄りました。

人形の衣装をつくる者にとって、針はとても大切な道具。
しかも私は細い針を好むからか、本当によく針を折るのです。

ネットでその存在を知ったみすや針は、
なんと、しょっちゅう通る場所にありました。
とても小さな看板と、細い路地の奥にお店があったので
全く気が付きませんでした。

そばには大好きなスマート珈琲店、
目の前には娘の楽譜を買う十字屋。
これなら、またいつでも迷わずに買いに来れます。


とりあえず買ってみたのは、和裁針とまち針。

折れにくく、曲がりにくいそうなので、早速使っています。






あちこちまわって疲れて帰宅すると
娘が洗濯物をたたんで、食洗器の中のお皿を片付け、
お茶の用意(!)をして待っていてくれました。
気が付いた時は必ずしてくれるのですが、
その日は特別に嬉しかったのでした。
ありがとうね、かなちゃん!

3/11/2008

セラフィンの春の1コマ


急に春がやってきて、
散歩も楽しくなりました。

セラフィンは、5才にしては性格が仔犬のようです。

人が大好きで、誰にでもよくなつき、公園では嬉しそうに走り回ります。

猟犬なので、足の速いこと!!


 そして今朝、シベリウスのヴァイオリンコンチェルトをかけていた時のこと。





気が付くと、セラフィン、椅子に座って音楽に聞き入っています。





何故か、こちらに背中を向けたまま・・・。微動だにしません。





セラフィンは、我が家では「音楽犬」と呼ばれていて、娘がピアノで間違えた時など、首をかしげてみせたりします。





シベリウスが気に入ったのでしょうか???

3/07/2008

縮緬小箱





 昨日は、縮緬古布で蓋を細工した箱を作ってきました。


常々、市松人形サイズの長持ちに衣装を収納しつつ、展覧会で人形とともに展示したいなぁ・・・思っていたのですが、まずは小さな桐箱で技法を教えていただくことに。


先生にご相談しながら、作業です。まずは布選びから。


このメッシュ編みの箱は、全部で5種類の古布を使用していますが、これらを選ぶポイントは、着物の色合わせを思い描きながら・・・。

少し地味になりましたが、それでも、日本古来の色の配色は、本当に美しいと感じることが出来る作業でした。


このメインの縮緬は、初めて男の子の市松さんを作った時に求めた古布です。


萩の模様が美しくて気に入っていて、ほんのわずかな残り布を大切にとっていました。

何かに利用出来ないものかと思っていましたが、はぎれの組み合わせで出来てしまいました。満足です!


実際に表に出た模様は菊ですが、上方に、ちらと萩がのぞいています。

それがまた、配置の妙というものでしょうか、お互いに引き立てあうように思えます。


5層の網目になっていますが、綿をいれてあるので、丸みがあり、あたりもやわらか。

箱の底は、うすい綿を絹地で包み、少しふっくらとさせます。

朝10時半から夕方の4時半までで仕上がったこの箱、忘れないうちに、すぐに色と雰囲気を変えて作ってみなければ・・・。




それにしても、何を収納しようか、思案するのもまた楽しいもの。


折角なので、いつも過ごすテーブルの上に置いて、縮緬の細工ものに使用する根付風のビーズなどをしまいましょうか。

けれど、このテーブルの上は、常に作りかけの材料が山のように・・・!反省しつつも、常にそばにたくさんの材料がなければ作業がはかどらない私。

この箱を目にすれば、少しは整理整頓を心がけるかもしれませんね・・・(恥)。



箱と一緒に写っているカップは、レッスンの後に一緒に習っているNさまからいただいた、九州旅行のお土産。

龍門司焼きのカップです。


お茶でも珈琲でもお酒でも、小さめの花生けでも、オールマイティに何でも受け入れてくれそうな度量の深さは、和の焼き物の魅力。

まずは、熱いほうじ茶をすすりたいなぁ~と思いました。












3/05/2008

ファンタスティック・ナイト シフのパルティータ

 昨夜は、念願のアンドラーシュ・シフの演奏会に出かけてきました。

シフの音を初めて聴いたのは、今から7年ほど前。
娘のコンクールの課題曲に、バッハのフランス組曲があり、予備知識なくたまたま購入したのがシフのものでした。
そのCDでの演奏に魅せられて以来、来日したら絶対に・・・と密かに待っていたのです。

その機会が、やっと巡ってきました!



 5時半に、ホール近くで娘と待ち合わせ。
このホールもよく行くホールですが、娘が学校から一人で来るのは初めてのこと。けれど、ちゃんと出会えました。
最近、演奏会で嬉しいことの一つが、この娘との待ち合わせだったりします。
小学校の頃は、演奏会のある日は学校の前で車で待ち伏せし、ホールに向かう車中で着替えをさせたりしていましたが、楽になったものです・・・。

軽く食べてホール入りすると、なんだかいつもの演奏会と客層が違うような・・・?
どうも、玄人筋の人も多そうで、私の席の周辺も、皆、専門家さんでした。
久々の来日ということで、遠方から来られた方もあったのではないでしょうか?



そして、シフのピアノの音は、本当に美しかった・・・。



それしか言えません。



多分、あんな美しいパルティータ全曲を生で聴くことは、生涯無いでしょう。



演奏会が終了したのは9時半過ぎ。かなり長い演目でしたが、それは全く感じさせられませんでした。
身体の隅々まで良い音楽に満たされ、とにかく「明日から更に頑張らなければ!!」と決意して休みました。



人形作りも音楽も絵画も、美しいと胸打たれるものは、必ずどこかで繋がっています。

良い経験をすると、それをアイデアやエネルギーに変えることが出来ます。

シフの素晴らしい音楽に感謝!豊かな時間をありがとう。